文七元結(CAB)

百年目home



博打に狂った左官屋の長兵衛。
今日もすっかり取られて借り物の半纏一枚で長屋へ帰ってくる。
長屋では女房がすっかり落ち込んでいる。
聞けば、昨晩から娘のお久が行方不明だという。
そんな事を気にもかけず、平然としている長兵衛に女房はくってかかり喧嘩になる。
夫婦が揉めているところへ、吉原の大見世角海老楼から使いが来る。
長兵衛は、嫌がる女房から無理矢理着物を奪い、女物の着物で角海老へ出掛ける。
角海老へ着いてみると、娘のお久が来ている。
お久を叱る長兵衛を止め、角海老の女将が言う事には、
”父親(長兵衛)が博打ばかりしていて家は火の車。
 夫婦喧嘩も絶えないので、私(お久)が身を売るので
 父親に渡して欲しい。”
と、昨晩お久がやって来たという。
親孝行な娘にも感心し、長兵衛の腕も信頼している女将は、娘を預かり、二年間の猶予で金を貸してくれると言う。
ただし、もし二年の内に返せない場合は、お久を店に出すという約束。
女将の叱言もあり改心した長兵衛は、”きっと迎えに来る。”と、吉原を後にする。
帰り道、吾妻橋まで来てみると身投げしようとしている手代の文七と出会う。
文七は、集金した金を掏られてしまい主人に合わせる顔が無いので身投げすると言う。
長兵衛は、必死で止めるが、文七は死ぬと言って聞かない。
仕方が無いので、お久が身を売って作ってくれた金を文七に投げつけ、長兵衛は走り去ってしまう。
文七が店(近江屋)に戻ってみると、掏られたと思った金は忘れてきただけで、先に店に届けられていた。
慌てた文七を主人(卯兵衛)が叱り、事情を聞く。
話を聞いて感心した主人は翌朝、文七を伴って長兵衛の家にお礼に行く。
長兵衛の家では、見ず知らずの手代に大事な金を呉れてやった事で昨晩からの大喧嘩。
お久を身請けし連れて来た近江屋卯兵衛が、文七と共にお礼を言い事情を話して一見落着。
これを縁に、文七とお久が夫婦になり近江屋から暖簾分けをし元結屋を開く。





↑top

百年目home